私たちの身近なECで利用される宅配便。その裏側では、軽自動車による配送が増加し、事故も増えています。事業用軽自動車の保有台数1万台あたりの死亡・重傷事故件数が、2016年から2022年にかけて約5割増加しました。この状況を踏まえ、国土交通省は貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するため、自動車事故報告規則等の一部を改正する省令等を2024年10月1日に公布しました。11月1日から講習機関に関する登録が開始され、2025年4月からは、貨物軽自動車運送事業者に対する規制が本格的に施行される予定です。
新たな安全対策
改正の主な内容として、貨物軽自動車運送事業者に対する義務が新たに追加されました。
貨物軽自動車安全管理者の選任と講習受講の義務付け
事業者が各営業所ごとに専任の管理者を配置し、彼らに対して安全に関する講習の受講を求めるものです。この管理者は、国土交通大臣に選任を報告する必要があります。
業務記録の作成・保存の義務付け
毎日の業務に関する記録の作成と保存も義務化され、特に、業務開始・終了地点や走行距離などの詳細を1年間保存することが求められています。
事故記録の作成・保存の義務付け
事故が発生した場合には、その概要や原因、再発防止対策等の記録を作成し、3年間保存することが義務付けられました。
国土交通大臣への事故報告の義務付け
死傷者が発生した事故等、一定規模以上の事故が発生した場合、運輸支局等を通じて国土交通大臣への報告が義務付けられています。
特定の運転者への指導・監督及び適性診断の義務付け
特定の運転者には、特別な指導と適性診断を受けることが義務付けられました。また、運転者の氏名や指導内容、適性診断の受診状況を記録した「貨物軽自動車運転者台帳」を作成し、営業所に保管することも求められています。特定の運転者とは、事故惹起運転者、初任運転者、高齢運転者を指します。
国土交通省は、この改正内容を周知するための説明会を、2024年11月15日以降、順次全国10カ所で開催予定です。
国土交通省「軽トラック運送事業における新たな安全規制について説明会」
(https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000669.html)
参考元:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000665.html)